毎朝すれちがう人

毎朝すれちがう人がいる。
特に意識もしていないが、ああ・・・あの人とは昨日もすれちがったなぁ、と思う。
たぶんこのさき、話すこともないだろうし、いつのまにかすれ違わなくなっても、気にもならないだろうけど。
交わらないすれ違い。思い返すと、生活のなかに、そういう人がいっぱいいる。
うしろ姿しか知らない人もいた。なんとなく気になっていて、いつか、顔をみようと思っていたけど、ついに顔をみることなく、そのまますれちがうことがなくなっている人とか。
そして、何年か後に、ほんとに偶然に、全然、通勤の経路とは関係ない場所ですれ違ったこともある。
「ああ、あのひとだっ！！」
このびっくりした感動を、だれかに伝えたいけど、うまく伝えられない。このちょっとしたアドレナリン上昇を分かち合いたいんだけど。
「ねえ、きいてきいて！　3年前に毎朝、＊＊線の＊＊駅で乗ってきて、＊＊駅で降りていったうしろ姿しか知らない人を、この前、六本木でみたんだよっ」
・・・といわれても、困るよ、そりゃ。ふーん・・・としか返せない。

それはたしかに、まあ、気にしなければ、たいしたことではないんだけど。
そんなところに、ドラマな展開の可能性があったりしてもいいかもね。