消す

穴

早朝に目が覚めた。剣先を突きつけられたような緊張感で。
たまにそんなときがある。そして、二度寝したときは、夢をみる確率が高い。
その後の二度寝でみた夢は、夢をみていたのか、意識的にそれを行っていたのかどちらなのか定かではないけれど、とにかくある一つのイメージを長時間、じっくり、そして何度でも繰り返していたような感じであった。
私は、2つの丸い穴のあいている箱の穴の片方に、どうしようもない「思い」の塊を、一生懸命押しこんでいる。その塊にはかなり抵抗感があって、難儀したけれど、とにかく穴に押し込んで蓋をした。塊を押し込んだのは左側の穴であった。
なぜ、穴は2つあったのだろう?(鼻の穴も2つだ・・・)
そして、何度もそのイメージを繰り返した。

とにかくそんな夢。

以前、どうしても忘れたいことがあったとき、私は、頭の中に白いペンキをぬりたくった。そのことが浮かんできたら、大きなハケで、ダイナミックにぬりぬりする。白いペンキというのは、なかなかよかった。ぬりたくったあとの頭の中は、真っ白になり、暗い気持ちにはならない。しばらくそういう時期があったけど、それ以来、その方法は使っていなかった。
なぜなら、私はそれ以来、どうしようもなく忘れっぽくなってしまったからだ。