シンプル

神保町の古本屋さんに行くと、読みもしない本をどっさり買ってしまう。ジェケ買いというか、言葉の断片に惹かれ買い。もちろん買うときには読むつもりなんだけど、結局読めていないものが多い。ハードカバーの年月を感じさせるこびない本たちを手にとって、それが何かを与えてくれそうな予感に胸を躍らせながら本を買うのは、とても豊かな時間だと思う。

昨夜は、気まぐれにまかせて本を買う。
田辺聖子ジョゼと虎と魚たち』とマルタン・デュ・ガール『チボー家のジャック』(高野文子装幀に思わずジャケ買い)と、なぜか買うのが恥ずかしい気がしてしまうジャンルの本で江原啓之『スピリチュアルワーキング・ブック』。
最近、アカデミックで分析的なだけで信念のない内容のものや、ハイセンスでスマートなだけでオチやメッセージのない小説を読む気になれなくなっている。飽きたというか疲れたというか。シンプルで前向きで力強いものに触れたい。結局のところ、そのようにしてしか、前に進むことができないから。
思いのほか、『スピリチュアルワーキング・ブック』がすばらしい。まっとうで当たり前のメッセージに、とても健全な心もちになる。私たちは、大いなるものに守られている、なんて思うと肝がすわる。