病院へ行こう

歯医者のキュイイイーーーンという音のおそろしさといったらない。
2年ぶりの歯医者の待合室で、びくびく震えていたけど、最近の医療の進歩はめざましい。麻酔もそんなにしびれないし、痛くないようにしてくれるし、全然いやじゃなかった。ラクチン。上手。ブラボー。だけど、歯医者さんが治療中に、「あ、間違えた」って言ったときは、そりゃないよ、と思った。間違えないでー!

病院は、出来れば行かずにすませたい。消毒液のにおいだけでどきどきしてしまう。やたらこわがりなのだ。
4、5歳のころ、日本脳炎の予防接種に連れて行かれて、注射だと分かったとたん、泣き叫んで地べたにへばりつき、結局注射をうけなかった記憶がある。なんで、あんなにこわかったんだろう・・・。だけど、その後、日本脳炎にかかるんじゃないかという恐怖にしばしば悩まされた。

病気や病院がこわいくせに、『家庭の医学』をみるのが大好きで、人体模型とか、内臓の図とか、病気とかにやたら詳しい子どもだった。ぬいぐるみを使った「お医者さんごっこ」もやたら本格的。粘土で内臓を作って手術したり、お薬も絵の具でカラフルに調合したり。

でも、『家庭の医学』の見過ぎで、ちょっとした体の不調で難しい病名が浮かんでしまって、「あたし、もうすぐ死ぬかも」っていちいち深刻になり、母にうっとうしがられた。そして、いつのまにか『家庭の医学』は、どこかに隠されてしまっていたのだった。

東京国際フォーラムでやっていた「人体の不思議展」をあの頃の自分に見せてあげたい。