熊と冬眠

鳥

各地で熊が出現のニュース。熊さん・・・。
熊に襲われた人は、本当にお気の毒です。台風で食べ物がなくなった熊も、かわいそうです。

ああ、それでも、クマほど人間のファンタジーをかきたてる動物は、いないかもしれない。プーさんもテディーベアも、もはやホンモノの熊には似ていないのに、それでもクマなのです。
熊のニュースをみていたら、冬が憂鬱な自分にとっての最高の冬の過ごし方を思いつきました。熊と冬眠! あまりにも、あったかくて、やわらかで、甘やかで、最近は、そのことばかり考えちゃいます。

薄暗い穴のなかで、わたしは熊にぴったりと身体をよせます。外は、しんしんと雪が降り積もっているので、油断できません。熊のふかふかの大きな身体に顔をうずめると熊の力強いゆっくりとしたリズムをきざむ鼓動がきこえます。熊の呼吸は、長く深く、そしてハチミツのにおいがします。熊の寝息が顔にかかって、くすぐったくて少し眠りをさまたげられることもあります。う〜ん、鮭くさいなぁ、なんておもったり、熊の寝返りで大きな足の下敷きになって、もぞもぞしたりしながら、目覚めたら、春になっています!
ゆるゆるとおきだした熊と私は、思いっきり大きなあくびをして、春の日差しと新緑の木漏れ日をあびながら、ゴロゴロ転がって伸びをします。すがすがしい空気が、からだを満たします。あ〜、おなかがすいた。熊と私は、ホットミルクとハニートーストを食べるのでした。(おしまい)

なんとなく、・・・川上弘美の『神様』の世界。うっとり!